TALKIN’!トーきん! 〜きんちゃんとあのひとのおしゃべり〜 ゲスト:BLUE BOTTLE COFFEE 代表 伊藤諒さん 1
対談
TALKIN’!トーきん! 〜きんちゃんとあのひとのおしゃべり〜
ゲスト:BLUE BOTTLE COFFEE 代表 伊藤諒さん

左:きんちゃん 右:伊藤さん
トーキョーバイクの代表であるきんちゃんが、気になる人とお話ししてみるという対談企画。今回は、同じ清澄白河に旗艦店があるBLUE BOTTLE COFFEE 代表 伊藤諒さんとの楽しいおしゃべりの前編です。(2022年10月現在)
「出店する街を選ぶとき大事にしていること 編」はこちら
「これからどんな場所にどんなお店を出したいか 編」はこちら
日本1号店の場所としてブルーボトルが選んだのは清澄白河。トーキョーバイクも2021年7月に、同じ清澄白河に旗艦店「TOKYOBIKE TOKYO」をオープン。
それぞれのブランドにとって、なぜ清澄白河だったのでしょうか。

ブルーボトルコーヒー 清澄白河フラッグシップカフェ
伊藤さん
うちは元々創業の地がアメリカのオークランドっていう街で、輸出入が多い倉庫街なんですよ。建物の背が低くて、空が広くて、海が近い。
そこのファーマーズマーケットで、創業者のジェームス・フリーマンがコーヒーを淹れてたっていうのがスタートで。最初はシンプルに、コーヒー美味しかったから、じゃあ、うちの野菜あげるよ、みたいな物々交換をしながらやってた感じなんです。
それで東京で店を出そうとなったときに、東京中を歩き回ったんですけど、清澄白河が材木問屋の街で、建物の背が低くて、空が広くて、水(川)が近いっていうところにオークランドと共通するものを感じて。で、今の物件と出会って、真っ白で四角い見た目もすごく気に入って、もうここしかないって決めたのが背景です。
きんちゃん
個人的には、ブルーボトルに共感する人たちが多いのはむしろ(東京の)西側だったんじゃないかなと思うんだけど。あえて東側にオープンさせたのは、本当に創業した当初のマインドを大事にしたかったんだなというか。流行ってるからやろうとしてるんじゃない、芯みたいなものを感じるよね。
伊藤さん
そうですね、その場所が人気かどうかというのはいい意味であんまり気にしないというか。ここがいいと思ったところに行く、みたいに感覚で判断することがうちは多いです。
しっかりと継続的に成長するための、ビジネスとの健全なバランスを深く考えることはもちろんですが、最近ようやくちゃんとビジネスのことを考え出したくらいで(笑)。それでもやっぱり、今でも直感を大事にして場所を選んでいると思います。それが清澄白河に関しては特に。日本で店をやる最初のタイミングで、ここでいこうと決断できたのはすごく大きなことでした。

きんちゃん
すごい、なんか全くうちと一緒だなと思った。トーキョーバイクの1号店は谷中でスタートしたんだけど、元々は東京の別のエリアで探してたんです。だけどあんまりしっくりこなくて。
で、そんな時にたまたま通りかかったのが谷中。上野駅の入谷口の方から芸大とか国立博物館の道を自転車でバーっと上がっていくと、いきなり景色が変わって、緑が増えてね。なんか小っちゃくて古い家がいっぱいあって、所々にギャラリーがあったりもして。なんだこの街は面白いなって。
で、気になるからまた来てみようと。またすぐ見に来て、平日の昼だったから人も全然歩いてないし、こんなとこで商売やって大丈夫かなと思ったんだけど(笑)やっぱり気になった。
なぜかっていうと、伊藤さんと一緒なんだけど、あの辺りは寺町だから、お寺が町中にたくさんあって。お寺って背が低いから、空が広く見えるんです。それが気持ちよかった。

きんちゃん
で、引っ越したらあっという間に友達が増えていってね。谷中の人たちに出会って、伝えたいものが一気に変わったっていうか。
それまではかっこいいもの、便利なものが生活の中心だったの。でも、そうじゃなくてもっと自由でいいんだっていうのを、谷中の人たちから学んで。みんな飲んでばっかりなんだけど(笑)すごい楽しそうな人たちばっかりでね。
清澄白河もそれと同じで、たまたまいい物件があると聞いて見に行ったら、街の空が広くて。その時たまたま寄ったクラフトビール店の人とか、お客さんの雰囲気も良くて。そこにあるコミュニティに共感したというか、仲良くなれそうって思った。
僕らのお店だけぽつんと単独であって「ただ商売やってます」っていうのは違うと思うから、やっぱりこの街の一員になれそうだなって最初に来た時に思えるかどうかは大きいですね。

清澄白河にあるフラッグシップストア TOKYOBIKE TOKYO

伊藤さん
今聞いていて思ったんですけど、 自転車屋とコーヒー屋って、ちょっと似てるのかもしれないですね。
自転車屋ならちょっと直しに来たり、乗ってみたかったりで人が集まる。コーヒー屋も、朝飲みに来ておはようって言いあって、だんだんと顔馴染みになる。そういう風にコミュニティができていく場所っていう共通点があるから。
さっききんちゃんが言っていた『この街の一員になれそうか』というのは、僕らもやっぱりいつも考えていて。すごく似てるなと思いました。
(つづく)